力強く、落ち着いて、喜びをもって!
東大で出会った恩師・南原繁、堀豊彦、丸山真男や先輩や親友たち、ヨーロッパで出会ったカール・バルトやヨハネス・ラウ大統領、そして大江健三郎、隅谷三喜男、井上良雄、土肥昭夫、野田正彰─著者が深い影響を受けた人格や書物との〈出会い〉のものがたり。
「私自身、これまで、さまざまの〈出会い〉を通して学んできたのは、超越者にたいする畏敬の念をもち、普遍的なものへ開かれた心をもつことの大切さでした。私たちが〈にせもの〉にとらわれがちなのは、地上の出来事を絶対視するからでしょう。名誉であれ権力であれ、それを手に入れることを人生にとって至高の価値であり、そのために必死になって闘う決戦の場であるように思いこむことから熾烈な競争や焦りの心も生まれてくるのです。しかし、決してそうではないのです。そのようなありきたりの価値観を超えた世界があると知らされれば、人生や歴史の出来事を相対化する視点を与えられ、心のゆとりが生まれ、ユーモアの精神も息づいてきます。 」 ( 「あとがき」より)