寂しさと痕跡を通して語りかける神。
その足跡を遠藤文学に訊ねて。
森田ミツは『わたしが・棄てた・女』のヒロインであるばかりでなく、遠藤文学に様々な形をとりながら繰り返し立ち現れてくる。そこに作家のキリスト教信仰が到達した独自の神学が内包されているのではないか―との視点から考察された意欲的論考。説教4編付き。
森田ミツは関わった人を、最後まで見捨てることはない。そのことがミツに不幸を背負わすことにもなるが、関わった人間は、ミツの記憶を通して、禍根を残し、新しくされる希望が与えられる。このことから、イエスの死から逃げずに、見届けたのは女たちであったということを思い起こすのである。(本文より)