七十人訳は何を受け継ぎ、何を汲み取れなかったのか。
国家存亡の危機の時代に生み出されたヘブライ語のアルファベート詩「哀歌」。七十人訳ギリシャ語に移し替えられた時、それはどのように変容していったのか。聖書翻訳の限界を探究することが真の叡智と人間理解への最良の手引きともなり得ることを渾身の和訳を通して明らかにする。
アルファベート詩・哀歌は、その壮大な営為の中に、初めから終わりへ、そしてまた終わりから初めへ、その輪の中に私たちを招き入れようとしている。それに続けて、原典から七十人訳へ、という巡りの中にも……。この度その巡りから、反面教師の形ではあるが、私たちは多くのことを学び取ったのである。自分の遂げた偉業を越えて、自分の至らなかった点を熟視し探究する人は、ほんとうの賢人にほかならないであろう。(本書より)