〈信仰〉と〈行為〉は相対する二つの概念なのか。
一つのルーツを持つ二つのあらわれなのだろうか。
聖書的信仰が持つ二つの基本的な構成要素である〈神の働き〉と〈人間の応答〉。端的に〈信仰〉と〈行為〉とも言い換えられる両者には、いずれもが真であるがこの緊張関係があり、長く議論の的とされてきた。この信仰と行為のあいだに横たわる課題に、使徒パウロのアブラハム理解(山口希生)、宗教改革者マルティン・ルターにおける善き業(江口再起)、イグナチオ・デ・ロヨラの巡礼者としての変容と成長(川中仁)という3つのアプローチからなる発題によって多角的な解析を試みた2024年11月の上智大学聖書講座、その全貌を収録。